留学生雇用で最も注意すべきこと
外国人留学生を「技術・人文知識・国際業務」ビザであなたの会社では働いてもらうには、内定をだしてから在留資格(ビザ)申請という順番となります。
①「採用」(内定)→②「在留資格申請」
この逆はありません。必ず先に内定なので、採用するつもりでも就労の在留資格(ビザ)が下りないということがよくあります。その原因として、次の2点が多いようです。
1.そもそも就労ビザがおりない職種で採用してしまう 2.学歴と関連のない業務で採用してしまう |
順に見ていきましょう。
1. そもそも就労ビザが下りない職種で採用してしまう
多くの雇用主様・採用担当者は、予め雇用する外国人がご自分の企業で働けるかどうか、事前に調査します。なぜなら、留学生が就労することができない職種がたくさんあることを知らないので、それを調査せずに面接をしてしまったり、採用してしまった苦い過去の経験があるからです。
しかし、留学生雇用が初めての方や、在留資格の仕組みをあまり知らない雇用主や採用担当者の場合、外国人はあらゆる業務で働くことができると思い違いをしていることがあります。
コンビニや建設現場でも外国人が働いているのだから、どんな仕事でもできるのだろうという発想の方もいますが、コンビニなどで働いている多くは留学生のアルバイトや身分系と呼ばれる就労制限のない在留資格の外国人の方がほとんどで、正規の就労ビザで働いている方はごくごく少数です。
最も多いのは、現業(現場での立ち仕事や入管局が考えるところの単純作業と呼ばれる仕事)で採用手続きを進めてしまうことです。基本的に現業で就労ビザが認められる可能性があるのは、あえて極端に言えば2019年に運用が始まった特定技能ビザしかありません。
技能実習で現業で働く外国人はもちろん多くおりますが、技能実習は就労可能な在留資格ではあるものの、あくまでも海外への技術移転のための実習というスタンスです。正面から現業を認める就労ビザではありません。
また、日本の専門学校を卒業していても、製菓や保育など一定の職種については日本で取得できるビザが用意されていません。専門士を取得していても日本で働けない職種が数多くあるので注意が必要です。
そのため、「技術・人文知識・国際業務」在留資格で留学生を採用される方は、そもそもこの職種(作業)で留学生に働いてもらうことができるのか、そして応募してくる留学生が御社で就労可能な職種なのかを必ず事前に調査する必要があります。就労ビザがおりなければ、内定を出しても意味がありません。
以上から、まずは留学生の応募者が御社で就労可能であることを調査し予測した上で内定を出し、ビザ取得の手続きに進むようにしてください。法的にビザが取れない外国人に内定を出してしまうと採用計画を一からまた練り直しになってしまい、それまでにかかった時間とコストが無駄になってしまいます。内定を出す前に、ビザ専門の行政書士などに相談することもお考え下さい。
2.学歴と関連のない業務で採用してしまう
これも不許可理由としてよくあるパターンです。例えば、経理の専門学校を卒業した留学生を営業で採用したり、マーケティングを履修した学生を医療事務で採用してしまうようなケースです。
特に専門学校を卒業した留学エイの場合は大学(院)を卒業した留学生とは異なり、専攻した内容と職務内容がほぼ完全一致する必要があります。
経理を勉強したのであれば記帳業務、語学を専攻したのであれば翻訳・通訳業務というように、ほぼ完全に専攻と一致した職務に就くことが求められるので、専攻した内容から逸脱して許可を取得することは非常に難しいです。
大学を卒業している場合には、もう少し緩やかな基準で審査されるため、例えば機械工学を専攻していても翻訳・通訳で許可を取得することが可能な場合も多くあります。経済学や経営学、法律を専攻した外国人の場合、かなり様々な職種に対してつぶしが効くというようにも言えます。
雇用契約書や雇用理由書にも、この履修した科目と職務内容を意識して、総合的に矛盾がないような申請をするようにすれば、許可の可能性が高まると言えます。もし貴社が雇用する留学生について心配がある場合には、ビザを専門とする行政書士などにご相談ください。