技術・人文知識・国際業務
留学生が大学を卒業して、日本で会社などで働きたい時に必要な在留資格が「技術・人文知識・国際業務」である。在留資格「留学」から、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更が必要だ。
出入国管理及び難民認定法(略称:入管法)では、「本邦(日本国内)の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)」と規定している。
該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等のホワイトカラー系の仕事。
就労する会社によって必要書類などが異なるので、まず会社のカテゴリーを知る必要がある。
◇所属機関(就職する会社)のカテゴリー
カテゴリー①:日本の上場企業、大企業、地方公共団体、独立行政法人など
カテゴリー②:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の 源泉徴収税額が1000万円以上ある団体・個人
カテゴリー③:前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー②を除く)
カテゴリー④:上記の①、②、③のいずれも該当しない団体・個人
■必要書類等■
◆本人が提出する書類等◆
◇本人の旅券(写し)(顔写真のページ)
申請人が過去に同じ在留資格で日本に在留したことがあるときは、その時の上陸許可等のページの写しも提出すべき。過去に「技術・人文・国際業務」の要件を満たしたことがあることを証明するため。
◇顔写真(縦4センチ×横3センチ)1枚
申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
※申請人が過去3か月より前に発行された旅券と同じ写真を送ってくることがあるので、旅券の顔写真と見比べるようにすべきである。過去3か月より前に発行された旅券と同じ写真を申請書に添付すると申請が受理されない。
◇履歴書(学歴、職歴明記)
【カテゴリー①、②】
申請人が基準省令で求められる学歴、職歴を有しているか確認するために要求。
【カテゴリー③、④】
職歴に基づいて申請する場合は、過去の勤務先から発行された在職証明書の記載内容(特に在職期間)と履歴書の記載に矛盾がないこと要確認。
◇学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書(カテゴリー①、②の場合)
①短大、大学又は大学院の卒業証書、卒業証明書
※短大又は大学を卒業した直後の申請の場合は、卒業証明書の写しを追加で求められることが多いので、あらかじめ提出するべき。
②日本の専門学校の卒業証書、卒業証明書(専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書)
※日本国外の専門学校卒の場合は、原則として学歴に基づいて申請することができない。
③「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書
※法務大臣の告示で指定された試験、資格に限る。申請する地方出入国在留管理局によっては、写しではなく原本を要求される場合もあるので、あらかじめ確認の上リクエストするとよい。
※上記で「提出なし」となっている場合であっても、基準省令に合致した学歴又は資格を有しているかを確認するために要求しておきたい。
④日本の所属機関に従事する業務に関連する業務についての10年以上の職歴を証する以前の雇用主発行の過去の在職証明書(学位や資格ではなく職歴を基に申請する場合に要確認)
⑤日本の所属機関で広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発等の業務に従事する場合、その業務に関連する業務について3年間以上の職歴を証する以前の雇用主発行の過去の在職証明書(学位や資格ではなく職歴を基に申請する場合に要確認)
学歴を要件として申請する場合には、過去の在職証明書等を手配することは申請人にとって負担になるため、履歴書の記載で職歴を確認するだけにとどめ、申請後入管当局が追加資料として提出を求めた場合のみ依頼しても問題はない。
◇学歴又は職歴を証明する次のいずれかの文書(カテゴリー③、④の場合)
①短大、大学又は大学院の卒業証書、卒業証明書
※専攻と日本での職務内容に関連性があることを要確認。
国によっては(例:中国)卒業証明書と学位証明書が分かれているので、その場合は両方必要。
短大又は大学を卒業した直後の申請の場合は、卒業証明書の写しを追加で求められることが多いので、あらかじめ提出するべき。また、申請する地方入国在留管理局によっては、写しではなく原本を要求される場合もあるので、あらかじめ確認の上リクエストするとよい。
②日本の専門学校の卒業証書、卒業証明書(専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書)※日本国外の専門学校卒の場合は、原則として学歴に基づいて申請することができない。
③「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書
※法務大臣の告示で指定された試験、資格に限る。申請する地方出入国在留管理局によっては、写しではなく原本を要求される場合もあるので、あらかじめ確認の上リクエストするとよい。
④日本の所属機関に従事する業務に関連する業務についての10年以上の職歴を証する以前の雇用主発行の過去の在職証明書
※既存の証明書がない場合は、質問票への回答や履歴書を基に行政書士がドラフトを作成して過去の雇用主の署名・捺印依頼。あるいは、行政書士から雛形のみ提供して以前の雇用主に完成してもらう。
⑤日本の所属機関で広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発等の業務に従事する場合、その業務に関連する業務について3年間以上の職歴を証する以前の雇用主発行の過去の在職証明書
※既存の証明書がない場合は、質問票への回答や履歴書を基に行政書士がドラフトを作成して過去の雇用主の署名・捺印依頼。あるいは、行政書士から雛形のみ提供して以前の雇用主に完成してもらう。
◆日本の所属機関が用意する書類◆
◇カテゴリー①の場合、所属機関が上場会社であることを証する資料
所属機関が民間企業であるときは会社四季報やYAHOOファイナンス等の写しを提出。
所属機関が政府機関であるときはそのウェブサイトの写しなどを提出。
所属機関が独立行政法人等であるときは登記事項証明書を提出。
◇カテゴリー②、③の場合。前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表(写し)(税務署の受理印のあるもの)
※税務署での直接提出の場合は、税務署の受理印を押印されているかどうかを確認。また、オンライン提出の場合には、データ受付ページの写しを添付するか、オンライン提出日の記載がるものを提出すること。
◇カテゴリー④の場合。
(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合、外交法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料。
上記(1)を除く機関の場合、給与支払い事務所等の開設届出書の写し。
※実務上、(1)に該当するケースはまずない。そこで、実務上は、「給与支払事務所等の開設届書」(税務署の受理印のあるもの又は電子申請の記録を添付したもの)の控えを提出するのが通常である。
(3)直近3か月分の給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のある者の写し)
(4)納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
※(3)(4)納期の特例を受けている所属機関が多い。納期の特例を受けていることを証する資料として、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の控え(税務署の受理印のあるもの)を提出するのが通常である。
◇申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの書類
①日本において管理者として雇用される場合、労働基準法15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書(労働条件通知書等)
②日本法人である会社の役員に就任する場合、役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し
③外国法人内の日本支援に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合、地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書(派遣状、異動通知書等)
◇事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
登記事項証明書(原本)※申請前3か月以内に発行のもの
※ほとんどの所属機関が登記された法人であるため通常は登記事項証明書を提出。
所属機関が駐在員事務所等登記されていない機関である場合は、「所属機関の概要」というタイトルで勤務先等の沿革、代表者(役員)、事業内容、活動内容等を記載した書類を作成して提出。
①勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む)等が詳細に記載された案内書及び親会社の会社案内書。
※登記事項証明書を提出する場合も、会社案内書があるときは提出すべき。
②その他の勤務先等の作成した上記①に準じる文書
◇直近の年度の決算文書の写し
※第1期が完了していないため決算書がない場合、決算書はあるものの財務状況が良くない場合は事業計画書を提出。
◇事業所用施設の存在を明らかにする資料
①不動産登記簿謄本(事業所物件を所有している場合)
②賃貸借契約書の写し
③事業所の転貸借契約書の写し、及び、事業所の転貸借同意書の写し
④事業所の見取り図
⑤事業所の写真:ビルの外観、ビルの入り口(会社名の看板要)、オフィスの入り口、オフィスの内部(何人分の机があるかわかるもの)
※法務省の提出書類リストでは求められていないが、カテゴリー④の場合は、所属機関に事業の実態があることを確認するため初めて受任するクライアントからは事業所の賃貸借契約書等を確認する。
※同事務所では、在留資格申請手続きとともに就労に必要な日本語学習も支援します。
■問合せは、電話03‐6272‐3735、携帯電話080-5679-5577