日本人の配偶者等(韓国人の場合)
韓国人と日本人の国際結婚は、婚姻届を提出することで、結婚自体は成立します。
しかし、韓国人配偶者が日本で暮らしていくためには、在留資格が必要です。
この時に必要となるのが、結婚ビザ・配偶者ビザです。正式には「日本人の配偶者等」という在留資格です。
この在留資格がないと、せっかく結婚しても、日本で暮らしていくことはできません。
「日本人の配偶者等」の在留資格は、次のような人に付与されます。
1.日本人の配偶者
日本人の配偶者とは、日本人と正式に結婚している外国人です。
内縁関係は含まれません。また、離婚したり、死別している場合も含まれません。
2.日本人の子として出生した子
日本人の子として生まれたものの、様々な事情により日本国籍を持っていない場合です。
3.日本人の特別養子
日本人の養親と特別養子縁組した子供です。
特別養子縁組は、通常の養子と異なり、養子が15歳未満で6ヵ月以上監護しているなどいくつかの条件を満たした上で、家庭裁判所の許可を得て成立します。
日本人の配偶者等の在留資格を取得しても、無限に居住できるわけではありません。
有効期間が設けられており、6ヵ月・1年・3年・5年と四種類に分類されています。
たいていの場合、最初は有効期間1年間で発給されます。
1年を超えて日本に居住する場合には、在留期間の更新手続きが必要となります。
「日本人の配偶者等」の在留資格を取得する流れ
《日本に呼び寄せる場合(在留資格の認定)》
韓国人配偶者が韓国に在住している場合は、日本へ呼び寄せる形になります。
この時に在留資格に関して必要な手続きは、結婚ビザの取得、正確には「日本人の配偶者等」の在留資格の認定申請手続きです。
ここでは、「日本人の配偶者等」の在留資格の認定申請手続きの流れを見ていきます。
◇入国管理局に韓国人配偶者の「在留資格認定証明書(COE)」の交付を申請します。
日本人配偶者が、日本の入国管理局に韓国人配偶者の「在留資格認定証明書」の交付を申請します。
書類に不備があったり、さらに必要な書類がある場合、「追加資料提出通知書」が送られてきます。処分が通知されるまで、平均65.7日ほどかかります。処分結果は郵送で送られてきます。
認定申請が拒否された場合は、理由を聞いて、再申請ができます。
入管で無事「在留資格認定証明書」が発行されたら、韓国の配偶者へ国際郵便等で送付します。
◇韓国人配偶者が在韓日本大使館で「日本人の配偶者等」ビザを申請します。
韓国人配偶者は、日本人配偶者から送付された「在留資格認定証明書」を在韓日本大使館に提出し、日本入国用の「日本人の配偶者等」ビザを申請します。
無事「在留資格認定証明書」が発行されていれば、ほぼ翌日には日本入国用の「日本人の配偶者等」ビザが取得できます。
※ビザが発給されると、韓国人配偶者のパスポートに、日本入国査証シールが貼付されます
ただし、下記のような場合、在韓日本大使館でもビザが発行されないことがあります。ビザが発給されない場合
- 外国人に離婚歴があり、離婚後も前配偶者と同住所になっている。
- 法的な離婚日と実際の離婚日が異なる。
- 外国人が文字を書くことが苦手(査証申請書を他人に書いてもらう必要がある)
- 外国人の親族が結婚に賛成してない(親族インタビューで不利になる)
- 外国人の本国に実子がいる。
また、書類の不備などでビザが取得できないと、再申請まで6か月待つ必要があります。また、取得できない理由も教えてもらえません。
そのため、十分な注意が必要です。
◇日本入国時に在留カードを取得します。
韓国人配偶者は、「在留資格認定証明書」が交付された日から3か月以内に日本に入国する必要があります。
日本入国時に、STEP5で取得した「日本人の配偶者等」ビザを提示すると、空港で在留カードが交付されます。
◇在留カードの更新と住民登録
日本入国後、住む住所が決まったら(基本的に日本人配偶者宅)、在留カードをその地域の自治体に提出して住所を記載します。
あわせて、住民登録を行います。
なお、「日本人の配偶者等」ビザの有効期間は、初回は6ヵ月又は1年間です。
《韓国人配偶者がすでに日本に居住している場合》
韓国人配偶者がすでに日本に居住している場合は、夫婦共同生活を日本で開始します。
この時に在留資格に関して必要な手続きは、現在の在留資格の結婚ビザへの変更、正確には「日本人の配偶者等」への在留資格の変更申請手続きです。
◇入国管理局に韓国人配偶者の「在留資格変更」の申請をします。
韓国人配偶者が、日本の入国管理局に現在の在留資格から「日本人の配偶者等」への「在留資格変更許可申請」を行います。
※書類に不備があったり、さらに必要な書類がある場合、「追加資料提出通知書」が送られてきます。
処分が通知されるまで、おおよそ30日ほどかかります。
処分結果は封書で送られてきます。
入管で無事「在留資格変更申請」が許可されたら、在留カードに記載されている在留資格が「日本人の配偶者等」となります。
◇居住地の自治体に、住民登録を行います。
在留カード更新後14日以内に、日本人配偶者居住地域の自治体に住民登録を行います。
なお、「日本人の配偶者等」ビザの有効期間は、初回は6ヵ月又は1年間です。
《「日本人の配偶者等」在留資格)の取得申請に必要な書類》
韓国から韓国人配偶者を呼び寄せる場合の「在留資格認定申請」も、すでに日本に居住している韓国人配偶者の「在留資格変更許可申請」も、ともに日本人の配偶者という在留資格の取得を目的とするものであり、申請書類に大きな違いはありません。
結婚ビザは、全て書類審査です。
したがって、結婚ビザのポイントで触れた「真実性」「安定性&継続性」を、あらゆる書類で証明していく必要があります。
提出した書類次第で結婚ビザの交付の可否が決まるので、十分注意して書類を用意しましょう。
◇最低必要書類
ここで列挙しているものは、法務省のホームページにも記載されている基本的に必要な書類です。
あくまで「最低限必要なもの」であり、ケースによっては追加書類が必要となる場合が多いので、あらかじめ留意しておいてください。
■在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書×1
在留資格認定証明書交付申請書(韓国から呼寄せる場合)
在留資格変更許可申請書(すでに日本にいる場合)
■韓国人配偶者の写真×1
(縦4cm×横3cm)
・申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
・写真の裏面に申請人の氏名を記載し,申請書の写真欄に貼付。
※申請が許可されると、在留カードの写真になります。
■日本人配偶者の戸籍謄本(韓国人配偶者の氏名が記載されたもの)
※発行日から3か月以内のもの
※戸籍謄本に韓国人配偶者の氏名がない場合は、婚姻届受理証明書も提出
■韓国人配偶者の婚姻関係証明書(日本人配偶者の氏名が記載されたもの)
※日本語訳及び翻訳者の署名が必要
■日本での滞在費用を証明する資料
韓国人配偶者の滞在費用を負担する方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通※ 発行日から3か月以内のもの。
※課税証明書及び納税証明書が提出できない場合は、 預貯金通帳の写しまたは 雇用予定証明書・採用内定通知書(日本の会社発行のもの)
■身元保証書(日本人の配偶者が記入)×1
■日本人の配偶者の住民票(世帯全員の記載があるもの)
※発行後3か月以内のもの
■質問書
※この質問書が、最も大事です。
特に、お二人の出会いから交際に至る経緯、どうして結婚しようと思ったのか、今後どのように暮らしていくのかなど、簡潔かつ詳細に文章で説明する必要があります。
質問書の記載が、結婚ビザ交付の成否を決定しますので、しっかり用意しましょう。
■スナップ写真
交際履歴を証明する写真。夫婦の出会いや交際中のもの、結婚式の模様、家族と映った写真など5~10枚程度
写真などはしっかり撮っておきましょう。
状況の説明なども付記しましょう。
■返信用封筒(404円の切手を貼付)
※ビザ申請の結果を通知するための封筒です。
◇結婚の真実性を証明する書類
二人の結婚が、真実愛情によるものであることを証明するための書類です。
特に、交際期間が短かったり、年齢差が大きい場合などは、この書類を充実させることが必要です。
■国際電話の通話記録、メールやLINEなどの履歴
二人の交際実態が記録されており、結婚の真実性を証明する書類になります。データは必ず保存しておきましょう。携帯の機種変更などの際には、要確認です。
◇結婚の継続性と安定性を証明する書類
二人の結婚が、経済的に十分安定し、継続できることを証明する書類です。
特に、日本人配偶者の収入が少なかったり、無職だったりした場合には、きちんと安定性・継続性をアピールできる書類が必要になります。
また、韓国人配偶者の語学力の証明も必要です。問題なく日本での生活を送るため、日常会話程度の語学力は必須だからです。
質問書に書類の番号をつけて提出すると、審査官に分かりやすくなるでしょう。
■日本人配偶者の在職証明書および給与明細(3か月分コピー)
※日本人配偶者の勤務先の会社案内があるとなおよいでしょう。
■同居する新居の写真(外観、各部屋)および賃貸借契約書(借家の場合)または登記事項証明書(持ち家の場合)
※シェアハウスはNG
※ビザ申請前に新居を用意しておく必要があります。
■韓国人配偶者の日本語能力を証明する書類
日本語学校の卒業証や日本語能力検定試験の成績表など
■韓国人配偶者の卒業証明書(在学中なら在学証明書)
留学ビザからの変更にあたって必要です。
■韓国人配偶者の住民票、納税証明書、源泉徴収票(日本に就労ビザで居住している場合)
生活の安定性をアピールできます。
■扶養者の預金通帳(コピー)または残高証明書、両親の嘆願書
日本人配偶者が就職したばかりとか、無職などの理由で納税証明書が提出できない場合、預貯金通帳や他の資産、また両親に身元保証してもらうなどの方法をとる必要があります。
そうしたときに必要な書類です。
◇その他用意しておくべき書類
■韓国人配偶者の履歴書
※日本語訳及び翻訳者の署名が必要
■韓国人配偶者のパスポートおよび在留カードのコピー(日本に居住している場合)
■前婚の配偶者との子供がいる場合は、その氏名及び制限月日、出生地
将来的に連れ子を呼び寄せたい場合、「申請書」や「質問書」に子どもに関する記載がないと、呼び寄せることが難しくなります。
◇在韓日本大使館で結婚ビザを申請する場合
韓国人配偶者が韓国に居住しており、日本から送られた在留資格認定証明書を持参して在韓日本大使館で日本人結婚ビザを申請するときに必要な書類です。
■申請書
■写真1枚
■パスポート
■住民登録証明書裏表コピーまたは住民登録謄本
■在留資格認定証明書原本およびコピー
◇追加資料提出通知書について
上記のような書類をそろえて入国管理局への在留資格の申請をした後、「追加資料提出通知書」が届くことがあります。
これは、入国管理局が申請を審査するにあたって、十分な判断の根拠が得られない場合に、追加で説明する資料を求めるものです。
この場合は、提出を求められた項目をしっかりと検討し、何にどのような懸念を抱いているかを推測して、審査官が十分に理解・納得できるよう、しっかりとした書類を提出することが必要です。
■問合せは電話03-6272-3735,携帯電話080-5679-5577
◆ 在日韓国人・韓国人専門法務ホームページを開設。