外国人の退職手続き
外国人は、転職に関して日本人の感覚とは異なり、とても合理的でともするとドライな面があります。条件のよい企業が見つかれば、これまで企業から大切にされていたとしても、躊躇なく転職してしまうことも日常的です。
その多くは自身のキャリアパスや家族のことを考えての選択ですので、そういうものだという心構えも、外国人雇用の現場においてはある意味必要かと思われます。
ここでは主に日本人の退職手続きとは異なる外国人の退職手続きについて説明しています。
外国人の退職【会社がする手続】
基本的には日本人と同様の退職手続きを行うことになります。また、受給の要件を満たすようであれば雇用保険の基本手当を外国人が受け取れるような手続きが必要です。その他、外国人から請求があった場合、源泉徴収票や退職証明書を交付します。
日本人と同様の退職手続き
原則として、外国人が退職する際の手続きは日本人が退職する際の手続きと同様です。具体的には以下の手続きです。
・雇用保険の離職票の交付
・源泉徴収票の交付
・健康保険の被保険者証の回収
・住民税で支払うべき残高がある場合の手続
・労働保険、社会保険の資格喪失手続き
など
その他会社によっては制服などの貸与品の返却、業務引継ぎ書の作成や転職後の守秘義務を誓約させる誓約書の提出など社内規約・ルールに則って手続きを行ってください。昨今では特にこの守秘義務が重要視されるシーンが多く見受けられます。
ハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失の届出
外国人が退職する場合には、ハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」の届出をする必要があります。基本的には日本人が退職する際の手続きと同様です。
別途、入管法では外国人が離職した際には、会社が入管局へ届け出るよう努めなければならないという努力義務が規定されていますが、上記ハローワークへの届出をすることで、入管局への届出は免除されます。
この資格喪失届の備考欄に、外国人の在留資格、在留期間、国籍等の事項を記入し届出をしてください。
※「外交」「公用」ビザ及び「特別永住者」である外国人従業員の場合には届出不要です。
退職証明書
外国人から「退職証明書」の交付を求められることがありますが、交付を求められた場合には外国人の退職時に交付しなければなりません。
外国人が退職して帰国するのではなく、転職する際には入管で在留資格の変更や就労資格証明書の交付申請において添付する必要があるため、この退職証明書は不可欠な書面です(最近では要求されない場合もあります)。入管当局ではこの書面を基に、前職での勤務期間や職務内容をチェックします。
この退職証明書を交付するにあたり、注意点があります。それは、労働基準法で「退職者の請求しない事項は記入してはならない」ということです。そのため、もし雇用していた外国人が素行不良で解雇せざるを得なかったとしても、外国人から解雇された理由は記載しないでほしい旨請求された場合には、記入してはいけません。
この退職証明書は、労働基準法第22条に則った作成をし、外国人に交付してください。
労働基準法第22条第一項
労働者が退職時に証明書を請求したときは、使用者は次の事項のうち労働者が請求した事項を記載した証明書を、遅滞なく交付しなければならない。
①使用期間
②業務の種類
③その事業における地位
④賃金
⑤退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)