永住権者の永住権が税金滞納などの軽微な罪で取り消せる改正入管法が6月14日、成立した。
この改正入管法は、技能実習に代わる外国人材受け入れ制度「育成就労」創設を柱としているが、同「育成就労」創設で永住者が今後増加することを予想して、永住者の永住権を簡単に取り消し要件を盛り込んだようだ。
新制度「育成就労」は2027年にも開始。1993年に始まった技能実習制度は廃止される。
新制度は国内の深刻な人手不足を踏まえた「人材確保」に主眼をおいている。新制度は未熟練の外国人労働者を3年間で育成し、最長5年働ける在留資格「特定技能1号」の水準に引き上げることを目指す。さらに熟練した技能が必要な「特定技能2号」に移行すれば、事実上無期限の滞在や家族の帯同が可能となる。
育成就労の対象分野は特定技能と一致させ、円滑な移行を促す。政府は今後、有識者会議を設置し、受け入れ見込み数といった運用方針を検討する。
現行制度は実習生の「転籍」(転職)を原則として認めておらず、過酷な労働環境を強いる「人権侵害の温床」と批判されてきた。新制度は1~2年の就労期間や技能水準などの要件を満たせば、同じ職種に限って転籍を認める。
外国人の受け入れ仲介や勤務先の監督を担う「監理団体」は「監理支援機関」に名称を変更し、許可要件を厳格化する。受け入れ企業と密接な関係を持つ役職員の関与制限や外部監査人の設置義務付けによって独立性・中立性を高める。
現行制度下では、技能実習生が母国の送り出し機関に多額の手数料を支払い、借金を抱えているケースが少なくない。新制度は、適正な手数料の基準や外国人と受け入れ企業が負担を分担する仕組みなどを設けるとした。
日本政府は、新制度の導入に伴い日本に長期滞在する外国人の増加が見込まれるため、永住者が税や社会保険料の納付を故意に怠った場合、永住許可を取り消せるようにする規定を盛り込んだ。政府は今後、具体的な取り消し事例などをガイドライン(指針)で公表する、という。
同改正案に対しては、韓国民団などが日本政府の多文化共生政策に反するなどとして抗議集会などを開催していた。