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在留資格「技人国」の明確化等


 出 入 国 在 留 管 理 庁はこのほど、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格については、出入国管理及び難民認定法(入管法)で該当する活動の内容が規定されており、法務省令において、これらの在留資格により本邦に上陸しようとする外国人が適合すべき基準が規定されているところ、申請者の予見可能性を高め
るとともに、在留資格の決定に係る運用の明確化及び透明性の向上を図る観点から、
同在留資格の要件について以下のとおり公表した。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格については、出入国管理及び難民認定
法(以下「入管法」といいます。)別表第一の二の表の下欄に該当する活動の内容が
規定されており、法務省令において、これらの在留資格により本邦に上陸しようと
する外国人が適合すべき基準が規定されているところ、申請者の予見可能性を高め
るとともに、在留資格の決定に係る運用の明確化及び透明性の向上を図る観点から、
同在留資格の要件について以下のとおり公表します。
なお、「留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への資格変更ガイドライ
ン」(平成27年2月策定)、「ホテル・旅館等において外国人が「技術・人文知識
・国際業務」の在留資格で就労する場合の在留資格の明確化について」(平成27年
12月策定)及び「「クールジャパン」に関わる分野において就労しようとする留学
生等に係る在留資格の明確化等について」(平成29年9月策定)については、本ガ
イドラインに取りまとめています。
1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動は、入管法別表第一
の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄において、「本邦の公私の機関と
の契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済
学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の
経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項から興行の項の下欄に掲げる
活動を除く。)」と規定されています。
(1)本邦の公私の機関との契約に基づくものであること
「本邦の公私の機関」には、会社、国、地方公共団体、独立行政法人、公益
法人等の法人のほか、任意団体(ただし、契約当事者としての権利能力はあり
ません。)も含まれます。また、本邦に事務所、事業所等を有する外国の国、地
方公共団体(地方政府を含む。)、外国の法人等も含まれ、さらに個人であって
も、本邦で事務所、事業所等を有する場合は含まれます。
「契約」には、雇用のほか、委任、委託、嘱託等が含まれますが、特定の機
関との継続的なものでなければなりません。また、契約に基づく活動は、本邦
において適法に行われるものであること、在留活動が継続して行われることが
見込まれることが必要です。

  • 2 –
    (2)「自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」又は「外
    国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務」に従事する活動で
    あること
    ア 自然科学の分野には、理学、工学のほか、農学、医学、歯学及び薬学等が
    含まれます。また、人文科学の分野には、法律学、経済学、社会学のほか、
    文学、哲学、教育学、心理学、史学、政治学、商学、経営学等が含まれます。
    いずれの場合も、前提として、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専
    門的能力を必要とする活動でなければなりません。
    一般的に、求人の際の採用基準に「未経験可、すぐに慣れます。」と記載の
    あるような業務内容や、後述の上陸許可基準に規定される学歴又は実務経験
    に係る要件を満たしていない日本人従業員が一般的に従事している業務内容
    は、対象となりません。
    イ 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務とは、単に外
    国人であるだけでなく、日本国内の文化の中では育てられないような思考又
    は感受性に基づく一定水準以上の専門的能力を持って、その能力を要する業
    務に従事するものであることが必要です。
    ウ 行おうとする活動が、「技術・人文知識・国際業務」に該当するものである
    か否かは、在留期間中の活動を全体として捉えて判断することとなります。
    したがって、例えば、「技術・人文知識・国際業務」に該当すると認められる
    活動は、活動全体として見ればごく一部であり、その余の部分は「技術・人
    文知識・国際業務」に該当するとは認められない、特段の技術又は知識を要
    しない業務や、反復訓練によって従事可能な業務を行う場合には、「技術・人
    文知識・国際業務」に該当しないと判断されます。
    また、行おうとする活動に「技術・人文知識・国際業務」に該当しない業
    務が含まれる場合であっても、それが入社当初に行われる研修の一環であっ
    て、今後「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行う上で必ず必要
    となるものであり、日本人についても入社当初は同様の研修に従事するとい
    った場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当するものと取り扱ってい
    ます。実務研修に係る取扱いの詳細は別紙1のとおりです。
    2 法務省令で定める上陸許可基準に適合していること
    (1)自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事
    しようとする場合は、次のいずれかに該当することが必要です。
    ア 従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒
    業していること(注)
    従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻しているこ
    とが必要であり、そのためには、大学・専修学校において専攻した科目と従
    事しようとする業務が関連していることが必要です。
  • 3 –
    (注)業務との関連性について
    大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授
    研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし、また、その目
    的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、
    社会の発展に寄与するとされており(学校教育法第83条第1項、第2項)、このよ
    うな教育機関としての大学の性格を踏まえ、大学における専攻科目と従事しようと
    する業務の関連性については、従来より柔軟に判断しています(海外の大学につい
    てもこれに準じた判断をしています。)。また、高等専門学校は、一般科目と専門科
    目をバランスよく配置した教育課程により、技術者に必要な豊かな教養と体系的な
    専門知識を身につける機関であるとされており、大学と同様、その目的を実現する
    ための教育を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与
    するものとするものとされている(同法第105条第2項)ことから、大学に準じ
    た判断をしています。
    他方、専修学校は、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向
    上を図ることを目的とするとされている(同法第124条)ことから、原則として
    専修学校における専攻科目と従事しようとする業務については、相当程度の関連性
    を必要とします。
    ただし、「専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラム
    の認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」第2条に定める文部科学
    大臣による認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了した者(以下「認定専修
    学校専門課程修了者」という。)については、企業等と連携して実習等の授業を行っ
    ていることや、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどを
    認定要件とする専門課程を修了し、質の高い教育を受けたことにより、修得した知
    識を応用できると考えられることから、専攻科目と従事しようとする業務の関連性
    について、柔軟に判断することとしています。
    また、専修学校の専門課程を修了した者が、従事しようとする業務に相当程度関
    連する科目を直接「専攻」したとは認められないような場合でも、履修内容全体を
    見て、従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合におい
    ては、総合的に判断した上で許否の判断を行っているほか、関連性が認められた業
    務に3年程度従事した者については、その後に従事しようとする業務との関連性に
    ついては、柔軟に判断します。
    なお、専修学校の専門課程を修了した者については、修了していることのほか、
    ①本邦において専修学校の専門課程の教育を受け、「専修学校の専門課程の修了者に
    対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程」(平成6年文部省告示第8
    4号)第2条の規定により専門士と称することができること、又は②同規程第3条
    の規定により高度専門士と称することができることが必要です。
    (※)別紙2に掲げる教育機関(ファッションデザイン教育機関)の特定の専攻科
    ・コースを卒業した者が、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資
  • 4 –
    格へ変更する場合には、「本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法
    務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)」に係る上陸許可基
    準に適合していることを要しません。
    イ 10年以上の実務経験があること
    実務経験の期間には、大学等において関連科目を専攻した期間も含まれま
    す。また、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に10年従事したこ
    とまで求めるものではなく、関連する業務に従事した期間も実務経験に含ま
    れます。
    (2)外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようと
    する場合は、次のいずれにも該当することが必要です。
    ア 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室
    内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事するこ

    イ 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験がある
    こと
    従事しようとする業務と同じ業務の実務経験である必要はありませんが、
    関連する業務である必要があります。また、大学を卒業した者が、翻訳、通
    訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は実務経験は不要です。
    (3)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
    日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要
    です。また、報酬とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」
    をいい、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課
    税対象となるものを除きます。)は含みません。
    3 その他
    「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への変更許可に当たっては、「在留資
    格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」を踏まえて審査が行われますが、
    例えば、以下の点について考慮されます。
    (1)素行が不良でないこと
    素行が善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素とし
    て評価されます。例えば、資格外活動許可の条件に違反して、恒常的に1週に
    ついて28時間を超えてアルバイトに従事しているような場合には、素行が善
    良であるとはみなされません。
    (2)入管法に定める届出等の義務を履行していること
    入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条
    の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更
    新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関
    等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。
  • 5 –
    別紙1 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について
    別紙2 ファッションデザイン教育機関
    別紙3 許可・不許可事例
    別紙4 ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について
    別紙5 「クールジャパン」に関わる分野において就労しようとする留学生等に係
    る在留資格の明確化等について