日本でのマイナンバー制度がなかなか浸透しない。
個人がマイナンバー、事業主がインボイス制度で、番号付けされることは、今後の日本社会のデジタル化に必要ではあるが、個人情報漏洩やなど問題もある。
では、韓国ではマイナンバーに相当するのが「住民登録番号」である。
ある知人が韓国に行った時の話である。
『韓国の病院に初めて行って驚いた。日本なら窓口に並んで健康保険証などを提示するところ、受付にあったのはタブレット端末ひとつ。韓国国民なら「住民登録番号」を入力するだけ、居住外国人の私は「外国人登録番号」を入力して受け付けが終了した』という。
また、『引っ越しをした時、政府24にログインすれば、自宅にいながら転入届を提出できる。妊娠したら母子手帳をサイトで申請すれば、宅配で受け取れる。さらに「補助金24」のページでは、自分がいま申請できる補助金は何か、数分で教えてくれるのだ』という。
さらに、『銀行で融資を受ける際、納税額などについて膨大な書類の提出が必要だ。あちこちの窓口に取りに行かなくても情報提供に「同意」すれば、政府が複数の行政機関のデータを全て取り出し、暗号化して銀行に送ってくれるという』
日本のマイナンバーの何倍も便利である。これがデジタル社会というのでしょうか。
この住民登録番号の始まりは、軍事政権下の1968年までさかのぼる。建国大法学専門大学院の韓尚熙教授によると、北朝鮮のスパイを見分けることが番号導入の目的だった。しかし、「なぜ人に動物のように番号をつけるのかと、激しい批判が起きた」。ところが同年、北朝鮮の武装ゲリラが朴正熙大統領の暗殺を狙った事件が発生、制度導入のきっかけになったという。
この「住民登録番号」制度も問題がないわけではない。
建国大の韓教授は「国がその気になれば、番号一つで経済状況や移動経路まで知ることができ、国民を国家の所有物ととらえるようになる恐れもある」と警鐘を鳴らしている。
日本のマイナンバーもそういうことにならなければよいが。